思わず、天才かと言ったビジネスモデルがある

ビジネスコラム

 明日、顧問先にひとつのビジネスモデルを提案しようと思っている。その顧問先ではそれまでのビジネスモデルがある意味その役割を終えたと云える。どのようなビジネスモデルにも経年に伴い色々な状況変化により、その役割を終えるときが来る。私の顧問先もその例に漏れないということだ。
 
 私の持論として事業の見極め、見直し、再構築は経営者の責任と役割だと思っている。顧問先の幹部研修のひとつとして将来の柱となるようなビジネスモデルを考えさせている。残念ながら、これはいける、というものは簡単には出てこない。それでもいわゆる中間層の社員たちの意識を変えるには役立っている。
 
 先日来ずっと考えていることがある。それは自分のビジネスモデルのことである。多くの経営コンサルタントと同じように集客が思うようにできずにいる。集客から契約に至るまでの導線が明らかに上手くできていない。さらにバックエンドの商品が弱い。私の場合、上手くいっていない原因が明らかなのでそこを修正すればいい。そう分かっていながらなかなかに進まずにいる。
 
 不動産エージェントをしている娘と話していて驚いたことがある。ある不動産会社の話だ。その会社はサイトのみで営業している。賃貸物件はやらず売買物件だけ扱っている。顧客と会うのは1回のみ。その1回の顧客との面談でほぼ100パーセント契約に至っているという。戸建住宅、新築マンションの売買が1回だけの面談で決まっている。
 
 その話を聞いた時、思わず嘘だろと言ってしまった。不動産会社にすれば賃貸の仲介より売買の仲介の方が手数料額が相対に大きくなるので売買の仲介は有難い。それだけに競争が激しく顧客の獲得が難しい。さらに顧客がいても物件紹介から契約に至るまでの手間と時間が相当かかるのが常識だ。
 
 にもかかわらず、その会社は一度も顧客と会うこともなく、最終的に顧客と一度だけ会うときには契約に必ず至るというのだから驚くほかない。どうしてそんなことができるのだろう。いくら考えても到底不可能なように思えてしまう。何度も娘になぜその会社はそんなことができるのか聞いてみた。
 
 簡単に云うと、サイトに入ってきた客を自分たちが望む顧客に仕立て上げるために篩(ふるい)にかけていくということだ。その篩に掛ける方法がこのビジネスモデルの肝となるのだ。篩にかけて最後まで残った客は自分たちが望む理想の顧客となっている。最後に会うときには契約することが前提で会うのだからほぼ契約に至るということのようだ。
 
 そのノウハウ、仕組みを考えたその会社の社長には恐れ入る。思わず娘にその社長は天才だよと興奮を隠せずに言った。どのようなビジネスでも1回の商談で契約が決まるならそれに越したことは無い。経営者にとって理想的なビジネスだ。特に高額な商品であればなお更それに越したことは無い。
 
 その社長が云っている。やみくもにいろんな客を相手にしても契約に至る確率は非常に低い。当社が理想とする顧客像がある。その理想とする顧客のみを相手とすることができれば自然と契約率は上がる。顧客を選別することができるシステムを創ればいいということになる。これが弊社のビジネスモデルの根幹だ。
 
 前述した、集客から契約に至るまでの導線設計が非常にしっかりと作られていると云える。自社のビジネスモデルを考えるとき、自社の顧客はどのような顧客を想定しているのか、その顧客をどのようにして集め、さらには契約まで至るのかをシステムとして構築することがいかに重要かが分かる。
 
 これはどのビジネスにも云える。今、業績が頭打ちの企業が多くある。さらにはコロナ禍で先行きを見通せない企業が多くある。これを機に自社のビジネスモデルを根本から見直してみてはいかがだろう。