地ならし、根回しは現経営者の役割 環境整備は経営者の責任 その1 (2013年10月18日)

ビジネスコラム

~地ならし、根回しは現経営者の役割~

後継者ができるだけスムーズなスタートが切れるよう配慮するのは経営者の

仕事です。

いわゆる地ならし、根回しは経営者の役割です。

経営者だから出来る、経営者でないと出来ないことをやっておいて欲しいの

です。

私が親父の会社へ入社したとき、私の親父はまったく何ひとつしてくれていません

でした。

私の親父はそういう配慮ができるような男ではありませんでした。

私の初出勤の日のことは今でも覚えています。

私が出勤しても私がどの部署で働くのか何をするのか誰の下で仕事をするのか、

何にも決められていませんでした。

親父からなんの指示も連絡もなかったようです。

私の机すら決められていませんでした。

戸惑った私は古くからいる女性事務員に空いてる机を教えてもらい、そこを自分

の机にすることにしました。

誰もが、私がそこにいることにまるで無関心を装っているようでした。

まして私に指示を出す者などおらず、何かを教えてくれそうな者もおりませんで

した。

「こりゃいかん、自分で考えて動くしかない」

その日から私の孤独な文字通り孤軍奮闘が始まりました。

私のようなひどい状況はそうはないでしょうが、親父が一代で大きくしたような

会社で、親父がワンマンで頑固であった場合、息子への配慮などないことが

ままあります。

親父の言い分は決まって同じです。

「俺は誰にも教えてもらったりしたことがない。全部自分ひとりで考えてやって

きたんや。息子やいうて甘えたらあかん。自分で考えて自分でやれ」

至極もっともなようですが、自分が創って自分でやってきた会社の社長と、親父

が創った会社を継ぐ息子とはおかれた環境、条件が全然違います。

どちらが大変でどちらが楽かなんていうことではなく、どちらも大変なんです。

継ぐ息子の苦労は親父には理解できません。

息子を会社に入れるのをきめたとき、息子を後継者としてきめたとき、息子に

経営を渡したとき、親父が社内外の地ならし、根回しをしてやらねばなりません。