スケールメリットの誘惑 (2012年3月31日)

敬天愛人箚記

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経営者なら売上を伸ばしたい、利益を増やしたいと考えます。
そして、会社を成長させたい、大きくしたいと考えるものです。

わたしもかつて事業経営をしていたころは、同じように思っていました。
特に右下がりの業界環境のなかで、何も手を打たずにいるのが耐えられずいろいろと動いていました。

一地方だけであった商圏を全国に広げようと、沖縄から北海道まで支店・営業所網を敷きました。
業界環境が悪化するなかでの営業拡大策でしたので、当初から苦戦は覚悟していました。

苦しいなかでも売り上げさえ伸ばせばなんとかなるといった、安易な策でした。
そして、全国規模でビジネスがしたいという、わたしの望みがありました。

そのころ、わたしの同業社でわたしの会社より規模の大きな会社が次々に倒れていました。
関西では、わたしの会社より規模の大きい同業社はほとんどなくなりました。

次はわたしの番かなとふと思いながらの経営でした。

いまから考えると、わたしの会社は建材商社でしたから、とても利幅が薄い商売でした。
粗利が4,5%といったなかでの経営でした。
よって、営業利益率が1%あるかないかの世界です。

世の中には規模が効く業種と規模が効かない業種にわかれるようです。
よく言われるスケールメリットが効くかどうかということです。

それからいくとわたしの会社のような卸の商売は仕入れ原価の比率がとても高く、規模を拡大してもコスト効率が良くなりにくいのです。
ややもすると売り上げが伸びても利益率が上がらず赤字になるケースが多いようです。

それに対し規模が効く業種とは、例えば鉄鋼の高炉メーカーのような素材産業などです。
どんどん生産をすることで、トン当たりの製造コストが下がります。

当時のわたしはこれに気付いていませんでした。
わたしのかつての会社が規模を拡大するなら、わたしをはじめスタッフの優れた営業パフォーマンスが実現されなければならず、なおかつ丁寧な支店・営業所管理が必要であったのです。

事業を拡大したいと思うとき、自社の経営分析をまずやる必要があります。
そして、自社が規模の効く会社かどうかを判断しなければなりません。
そのうえで、経営戦略を立てねばなりません。

                   参考文献 「IGPI流 経営分析のリアル・ノウハウ」冨山和彦

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向こう3年で、子息に継がせたい社長

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