下町界隈 (2011年8月20日)

敬天愛人箚記

敬天愛人語録にもどる

私の日常を少しお話しします。私がいま住んでいるところは台東区台東です。このあたりは以前、下谷竹町と呼ばれていました。かつて秋田の久保田藩(佐竹候)上屋敷がありました。その西門の扉に竹を用いていたため竹町の名がついたと言われています。このあたりは太平洋戦争の戦火をのがれた家屋も多く、いまも古い家並みがところどころに残っています。昔ながらの人情豊かで情緒ある下町です。

私の家の裏手には東京下町三大商店街のひとつと言われた佐竹商店街があります。明治の頃は多くの寄席や見世物小屋が軒を連ね、たくさんの料理屋が立ち並ぶ一大歓楽街であったといいます。今は残念ながらところどころシャッターが降り、人通りもあまり多くはありません。

私が住んでいる家は、築50年の木造二階建ての一軒家です。洋風のつくりで一階は事務所兼私の居場所、二階は台所、居間、寝室で、屋根裏部屋があります。今月末、長女がニューヨークから帰国し、親子4人の暮らしになります。

普段朝、身支度を済ますと、私は新聞と一冊の本を手に、佐竹商店街にあるLe Cafeに一杯200円のコーヒーを飲みに出かけます。いつも出会う客は、近くの中小企業のサラリーマンや、商店主の親父さんたち、そして大きな声でよくしゃべる近所のおばちゃんたちです。コーヒーを飲んだ後、私は商店街横にある秋葉神社にお参りをし家に帰ります。まだ開業して間もなく、一人のクライアントもなく、講演依頼もない私は、暇にあかして近辺を散策しています。

まずよく行くのは上野公園です。私の家からアメヤ横丁を横切って20分も歩けば上野公園に着きます。いつもはゆっくり散歩するだけですが、たまに東京文化会館でクラシックコンサートを聴いたり、国立博物館や国立西洋美術館をのぞいたりしています。もちろん上野動物園にも行きます。今年、初めて上野公園の桜を見ていたく感動しました。満開の桜並木に圧倒され、何度も往復したものです。また上野公園にはお寺や神社があります。私の大好きな西郷さんも立っています。何時間いても飽きません。帰りに不忍池にでます。今はハスの花の盛りで、池一面を覆っています。そして不忍池のそばに私たち夫婦がよく行く映画館上野東急があります。決して都会らしくない、昔懐かしい雰囲気のある、私のお気に入りの映画館です。いつもよく空いていて、ゆっくり映画を楽しんでいます。

私の夜の散歩は、浅草浅草寺まで往復1時間20分の道程です。浅草雷門周辺の昼間の喧騒が嘘のように消え、各店が忙しげに仕舞支度をしたり、祭りの後の倦怠感があちこちに漂うさまが、とてもおもしろく感じられ、散歩の途中何度も足を止めてしまいます。そして夜の浅草寺にお参りをして帰ります。

私が下町で暮らし始めておおかた一年になりました。いまだに見るもの聞くものすべてがおもしろく、飽きることがありません。下町界隈に暖かく包まれ、はんなりと暮らしています。