失くしもの (2011年6月13日)

敬天愛人箚記

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大きな失くしものをしました。とても困っています。昨年春、長年経営してきた会社を倒産させました。一瞬に、それまで築いてきたものを失いました。不動産を始めとする形あるものすべては勿論のこと、長年培ってきた信用・信頼、そして人間関係、あらゆるものを失くしました。それが会社を潰すということです。しばらくして、まだ、失くしたものがあることに気付きました。プライドや見得は、倒産と同時に粉々に砕けていました。それらは無くていいものでした。もっと大切なもの、「自信」を失くしていたのです。何事にも自信過剰な程の私が、まさかこんな状態になるなんて、想像だにしませんでした。

自信をなくすということは、体からエネルギーが抜け落ちるのと同じです。なにをするにも、おどおどしてしまい、慌てるのです。人前で話すことなんて、大変難しいことです。

いろいろな本を読んでみました。なにか自信を取り戻すいい方法がないものかと。しかし、これだというものが見つかりませんでした。昨年9月に上京し、10月からビジネススクールへ通い始めました。目的は二つありました。一つは何故会社を倒産させたのか、その原因を、学ぶことで明らかにすることでした。二つめは、失った自信を取り戻すためでした。4月に友人の支援があり、新しく会社を起こしました。ホームページを作り、こうして思いつくこと、伝えたいことを自分の言葉で少しずつ書いています。5月から、トーストマスターズクラブに顔をだしています。スピーチとプレゼンテーションを学んでいます。以前の私は人前で話すことは苦でなく、喜んで話したものです。今の私は、自信がないせいか、あがってしまうのです。頭が真っ白になり、顔が熱くなり、鼓動が速くなり、呼吸が苦しくなります。明らかにあがっているのです。

特効薬は無いようです。少しずつ行動し、経験を積み重ねるしかないようです。小さな成功体験を積み重ねてやるしかありません。自信を回復するには、時間の経過も必要です。少しずつ小さな達成感を増やすしかありません。

これが私の大きな失くしものです。誰にも拾ってもらえない失くしものです。自分で少しずつ拾い集めるしかないのです。