年寄りの冷や水 (2011年8月4日)

敬天愛人箚記

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昨今、年寄りの冷や水という言葉が死語になりつつあります。お年寄りが若いものに負けないようにと張り切って、やらなくてもいいことをすることを言うのだそうです。日本人の平均寿命が年々延びているなか、お年寄りの意識が変化しています。とにかく世の中元気なお年寄りが多いです。定年退職しても精神的、肉体的に若い方が多いです。平均寿命が延びたことで、人生のタイムスケジュールが大きく変化しました。体が元気な間は仕事を続けたい。世の中のため、役立つことをしたい。今まで出来なかった趣味を持ちたい。世界中旅したい。などなど今のお年寄りは意欲が旺盛です。

このたび私と妻はタレント研修生になりました。先日二人で某プロダクションのオーディションに行ってきました。結果、半年間研修に通うことになりました。研修では各企業のいろんなオーディションに向けて、様々なレッスンがあるようです。妻はシニアファッションモデル、私はシニアタレントを夢見ています。半年後事務所のオーディションに合格すれば、一年契約で所属モデル、タレントとして、いろんなオーディションに参加できるそうです。そして受かれば仕事にありつけるという次第です。もしかしたら来年には私と妻がファッション雑誌かどこかのメーカーのパンフレットに登場しているかもしれませんよ。楽しみですね。

私は昨年10月からビジネススクールに通っています。若者に混じって授業を受けています。この年になって学ぶことがとても楽しいのです。その昔、京都で学生をしていた頃、芝居とバイトに明け暮れ、まったく大学には行かず、かろうじて5年で卒業しました。それが今になって、会社を倒産させた後に、ビジネススクールで学ぶことが楽しいなんて、おかしな話です。

また、私は2か月前からトーストマスターズクラブに通い始めました。おもにスピーチのトレーニングを目的に通っています。若いころは毎日のように人前で話しをしていました。話すことになんら苦痛を感じることもなく、ましてや上がることなどありませんでした。そんな私が倒産以来自信を失くし、少しずつ自信を取り戻すためにクラブに通っています。クラブメンバーは老若男女様々また海外からの人もたくさんいます。メンバーのレベルの高さに驚き、例会の緊張感に浸って楽しんでいます。

年寄りの冷や水と言われるかも知れません。しかし、せっかく頂いた人生ですから、これからもっといろんなことに挑戦し新たな出会いをたくさんしたいと思っています。

今の日本、少子高齢化がますます進んでいます。それに伴い労働人口が当然のごとく減少しています。元気なお年寄りを使わぬ手はありません。長年一つの会社で働いてきた方々がまったく違った仕事に挑戦することは大いにありだと思います。元気でやる気満々のお年寄りを受け入れる企業はこれからますます増えるでしょう。お年寄りの冷や水大いに歓迎しましょう。彼らの貴重な経験に頼りましょう。明るい日本の未来はお年寄りの冷や水とともに。