私がイノベーションを語る理由 (2011年7月20日)

敬天愛人箚記

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中小企業にこそイノベーションが必要であると私は確信しています。私が言うイノベーションとは、日本語でいう改革・革新と思われる物・状態等あらゆることを言います。多くの経営者は良い意味でも悪い意味でもワンマンです。社においては社長がトップセールスマンでありトップエンジニアでしょう。ややもすると社員が頼りなく思われ、何事も自分でなければと思っています。そこに大きな落とし穴が待っています。いくら社長が優秀でもスーパーマンではありません。何か問題が起きたとき、新しいことをやろうとするとき、社長独りではできません。日ごろから何でも独りでやってきた社長は、いざという時、頼れる社員が傍にいないことの恐ろしさに初めて気付きます。

かつてわたしが社長であったころ、私は常に新しい商品・事業・顧客・商圏を求めていました。結果、売上・利益となり、右上がりの成長を促すことになると信じてのことでした。ある時期まで順調でした。様々な状況の変化にともない、売上が減少しはじめました。キャッシュフローの悪化が強まり、運転資金がショートし倒産に至りました。

前向きで積極的な姿勢は間違ってはいませんでした。私の独りよがりな経営が問題でした。社員とのコミュニケーションが無く、私がやろうとしたことにコンセンサスを得られていなかったのです。社員との相互不信があり、纏まりの無い状態でした。会議は私の独壇場で、多くを語らずとも私の背中を見れば自ずと解かるだろうと思っていました。身勝手で独善的な経営者でした。

イノベーションは新しい商品開発や顧客開拓だけではありません。組織制度や人事制度改革もその一つです。外に向けてのイノベーションだけでなく、社内でのイノベーションを進める必要があります。社員とのコミュニケーションを図り、ミーティングを活用し、社内から小さなイノベーションを創りださねばなりません。社長が社員とともにイノベーションを創り続けることが、社内のムードを変え社員のモチベーションを上げることになります。小さなイノベーションの積み重ねが業績に大きな変化をもたらします。

ワンマン社長が、社員とともに創るイノベーションの大切さに気付いたなら、適正な利益を伴った売上拡大を実現し、緩やかな成長を持続させることができます。常に新しいことに社員とともに挑戦し続けることが大切です。中小企業にイノベーションを。