天命を知る!?(2011年5月13日)

敬天愛人箚記

西郷さん31歳の時、安政の大獄のあおりを受け、身体極まり僧月照と鹿児島錦江湾に入水しました。月照は亡くなりましたが、西郷さんは一命を取り留めました。意識を取り戻した時の西郷さんの心境は如何ばかりかと推測します。共に志を同じくし、京において活躍した仲間を守りきれなく、共に死を選んだにもかかわらず自分だけが生き残ったのです。その状況はあまりにも過酷で厳しいものです。平静な心を取り戻すのに相当な時間が必要であったと思われます。「こうして生かされている自分とは一体何者なのか、何のために自分は生きているのか。」自問自答を何度も繰り返したことだろうと思います。その後の西郷さんの生きざまを考えると、そのころに「天命」という想いに至ったのは間違いないことだと思います。

私は昨年春、長年経営してきた会社を倒産させてしまいました。その半年前に白血病を突然発症しました。そのころの私は、会社の急激 な売上の減少にともないキャッシュフローの悪化を招き、資金繰り対策に明け暮れる毎日でした。著しい体力の低下と体重の減少があり、なにか変だなとおもったころの発病でした。診断は慢性骨髄性白血病でした。幸いなことにいい薬が開発されており、一生飲み続けねばなりませんが、入院することなく日常生活を送れるということで一安心しました。しかし、当然のごとく死を初めて意識しました。たまたま薬が開発されていたから生きられるのであって、本来なら急性転換し3年程度で死ぬことになっていたかもしれないのです。そう考えると、今、生かされていることの不思議さを感じました。その半年後に自己破産しました。この順番が逆であったなら、とても耐えられなかったかと思います。先に病になり、死を意識し、生かされていることに感謝していたおかげで、今こうしていられるのだと思います。残された人生を大切に一日一日生きていきます。家族そして友人と過ごす時間をたくさん持とう、そしてかつての仲間である中小企業の経営者の方々のお役に立つことをして生きていこう。それが今、私の嘘偽りのない魂からの想いです。