起業のすすめ(2011年5月28日)

敬天愛人箚記

大きな話です。マクロ経済の話です。有名な経済学者ケインズと同時代にシュンペータという経済学者がいました。1900年代前半の話です。経済環境において好況・不況は不定期なものです。その好不況を調整・管理しようと二人は考えました。ケインズは政府が金融政策・財政政策を行うことで可能だとしました。一方シュンペータは好況・不況を作り出す基は、イノベーションの出現と発展にあると考えました。ケインズの政策を今日の日本政府は長年、実行してきました。公定歩合を操作し、公共投資・公共工事を行うことで、景気浮上を図ろうとしました。しかし、バブル崩壊以降それらの政策が機能しなくなりました。長年の0金利政策は効果なく、公共投資は有効性が無く、もはや、お手上げの状況です。そこで、シュンペータ先生の登場です。彼がいうイノベーションは非常に幅広い意味があります。日本語でいう改革・革新と思われるあらゆる物事とその状態すべてを言います。そのなかでも、新しく事業を始めること、つまり起業が「群生的」に多く出現することが、好況をもたらす唯一の原因であると言っています。多くの企業が生まれることが経済を底上げし、下支えになり、全体のパイを大きくします。それこそが経済活況の基であると言っています。

日本の起業者数は一年で約15万人です。アメリカは100万人以上です。人口比で見ても、この差は大きいです。アメリカは増加傾向ですが、日本は減少しています。両国の経済状況に反映しています。日本の起業者数減少の原因・理由はたくさんあります。一つあげるなら、人々の失敗に対する不安と恐れです。失敗しても大丈夫、またやり直せる、と簡単に思えない、思わせてくれない風潮があります。しかし挑戦しないと、何も始りません。コカコーラ、IBM、GE、マイクロソフトもみんな起業者が始めました。勇気を持って、一歩を踏み出しましょう。一人でも多くの起業者が現れることを切に願います。