身の丈、身の程 (2011年10月11日)

敬天愛人箚記

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昨年9月に上京し、最初にしたことはビジネススクールへ通い始めたことでした。友人の支援があり、時間と心の余裕を与えてもらったおかげで実現できたことでした。昨年春、会社を倒産させた私は、本来なら明日からの生活のため、すぐにも何かを始めねばなりませんでした。それまで社長しか経験の無い私は、誰かに雇ってもらおうなどと考えたこともありませんでした。もっとも私を雇うなどと勇気のある人もいませんが。そんな私は一日でも早く、自分で何か事業を始めるしかないと思っていました。もしあのとき、友人の支援がなければ、昨年9月から無理矢理以前のビジネスに関連する事業を何か始めていただろうと思います。その結果がどうなっていたかは分かりませんが、また相当無理を重ねていたに違いありません。友人のおかげで一息を入れ、間をおいて考えることができました。そして出た答えは、少ない資本で、人を雇わず、妻と二人ででき、体が元気である限り死ぬまで長くやれる、フリーランスの仕事から始めようということでした。ビジネスデザイナーという名で経営者の相談相手になり、若い後継者の育成をし、たくさんの人に私の話を聞いてもらおう、そう思いました。

そのために今、何をするべきか考えたとき、ビジネススクールで一から経営を学問として基本から学びたいと思いました。学ぶことで何故私が会社を潰すにいたったか、原因と理由が明らかになると考えたからでした。そうすることで、経営者のお役に立つ仕事ができると思いました。

そして次に、私はトーストマスターズクラブに入会しました。これから私は講演講師として、一人でも多くの人に話を聞いて頂きたいと思っています。そんな私が実は、大変なあがり症であったことが分かったのです。若いころ私は、連日のようにたくさんの人の前で話をしていました。私は自分が上がることなどないと思っていました。それが、40歳のとき一度、講演で見事に失敗したのです。原因は明らかでした。準備を全くしていなかったからです。テーマがいつも話していることだからと、はなからなめていたのです。ものの見事に失敗しました。途中で頭が真っ白になり、話が続かなかったのです。それがトラウマになってしまいました。その後、何度かのスピーチもすべてうまくいきませんでした。私は完全に自信をなくしていたのです。これから講演講師をしようという私がこれでは仕事になりません。そんな私が藁にもすがる思いで入会したのが、トーストマスターズクラブでした。おかげで少しずつ自信を取り戻しています。

そして今は、コーチングを学んでいます。私は経営者と後継者のビジネスコーチングをしたいと考えています。コーチングのスキルを身につけることで、経営者の相談役としても、より幅が広がり深みが増すだろうと思っています。これからのビジネスシーンでは、経営者が自らのコンディションを整えるために、それぞれにプライベートコーチを持つことが求められると考えています。コーチングはティーチングではありません。クライアントの自立と自律を促すのです。大企業の社長や役員、中小企業経営者、社会福祉法人や医療法人の理事長などが、彼らのプライベートコーチを必要とします。私はエグゼクティブコーチとして活動したいと思っています。

以前、事業経営者であったとき、私は自社の財務内容や人材を考慮することなく、ただひたすら拡大路線をとっていました。今の私は冷静に慎重に、今の自分の身の丈を計り、身の程を知ることが出来ています。着実に一歩ずつ、自分の器量と才覚でやれることから始めようと思っています。