親子経営は最強の経営スタイル
ビジネスコラム親子経営企業にはいろいろな欠点、いわゆる負の面がある。私は自身も親子経営企業の経営を長年経験してきたのだが、それにも勝る多くの利点、強みがあると確信している。
要するに経営者が己の企業の欠点、弱さを徹底的に精査し見極めたうえで、矯め直すことが求められているのだ。 そのうえで、親子経営企業ならではの利点、強みをさらに極めることで強固で強靭な経営スタイルを創りあげることができると信じている。
世の中では、一部の親子経営企業での不祥事やお家騒動を面白おかしく喧伝されることがある。そのこともあり、親子経営企業のイメージが悪く思われがちになっている。
しかしながら実際には、多くの親子経営企業がその利点、強みを活かし堅実に力強く経営されている。私は経験上、親子経営企業は上手く機能さえすれば最強の経営スタイルになると心からそう思っている。
では、具体的に親子経営企業の何が最強の経営スタイルとなる要因なのかについて簡単にご説明する。私は5つの要因があると考えている。
まずひとつは経営者がオーナーとしての役割と責任を果たすために「オーナーシップを発揮する」ことだと考えている。特に業績が停滞し、売り上げ、利益が右下がりの傾向を示しているとき、経営者が役員や社員に任せるのでなく先頭に立ち対応することが求められる。
2つ目は、「業績の変動に機敏に対応することができる」からだ。サラリーマン経営者やプロ経営者と違い、オーナー経営者はここ一番というとき自分の思い通りに思い切った手が打てるという利点がある。
3つ目は、「地盤・看板・顧客・取引先・与信・人脈が引き継がれる」からだ。どれも創業経営者にとって喉から手が出るほど欲しいものばかりではないだろうか。それが先代、あるいは先々代から引き継げるのだからありがたいことに違いない。
4つ目は、「地域に根差した身の丈経営」をしている地域の優良企業が多いということだ。企業は規模が大きければいいというものではない。経営地盤が安定し、最大の会社を目指さず、最良の会社を目指すことができる。
最後に、親子経営企業において、「経営交代は業務改革、人事改革の好機」となるからだ。親から子への経営交代は30年、40年に一度の大きなイベントのようなもの。経年劣化を起こしているであろう事業の見直し、人事の刷新の好機となる。
コロナ禍でたくさんの企業が市場から去った。その後、異常ともいえるインバウンドで生き返った企業があるだろう。それでも依然として地方経済の衰退が止まらず構造不況に喘いでいる企業が多くある。
そんななか、親子経営企業が冷静に親子経営企業故の強みと弱みを見極め、強みを存分に活かし、厳しい外部環境のなかを力強く経営し続けてもらいたいと切に願うところである。