偶然?いや必然なのかもしれない

ビジネスコラム

中国古典四書五経の五経のなかに「易経」がある。何度か読んでみたものの非常に難しい。ユーチューブで「易経」を分かりやすく紹介しているのがあり観てみた。そのなかで自分で自分を占ってみるというのがあり試してみた。そうすることで易経を実践の書として親しむことで理解の端緒を掴むことができるように思われた。

「易経」の成立年代は不詳である。孔子の時代にすでにあったことは間違いなさそうなので相当古い時代からあったと思われる。私など浅学の者には「易経」とは単なる占いの手引き書なのではと思っていたものだ。しかしながら古来より為政者をはじめ偉人たちの多くが「易経」を人生の指南書として学んでいたことが知られている。

よく言われる「当たるも八卦当たらぬも八卦」という言葉がある。その八卦と八卦を組み合わせた64種類の卦がある。その一つ一つの卦はある意味人の人生における様々な場面を表している。人生には当然のごとく調子がいい時があれば何をやっても上手くいかないなんて時がある。

そのような人生における64種の場面場面でどのようにすれば物事が上手く周るのかを教えてくれる人生の指南書だといえる。私は今年6月で68才になる。もう人生は終盤を迎えている。下手をすれば長生きをすることもあるだろうが、ビジネスパースンとしての寿命はそう長くはない。

新年を迎えこれからの10年をラストステージとして私なりの最後のお勤めをしたいと思っている。それがどのようになるのか、またどのようにすればいいのか考える手引きの一つとして易経によって自らが自らを占おうとしたのだ。その結果、私の現在のステージは易経でいうところの「沢山咸(たくざんかん)」という卦とでた。

いろんな方の解説を調べてみた。そのうえで自分なりの解釈をしてみる。現在の私の状況は決して悪くはない。日々誠心誠意真面目に生活し仕事をし続けることで現状が上向きになるようだ。願い事も実現するとある。ただ、人や仕事に対し不誠実であったり感情を露わにしたりすることがあれば物事が思うように進まなくなるようだ。

今年は仕事をするうえで感情を意識しなければならない。自分だけの感情でなく周りの人々の感情の動きにも留意することが必要なようだ。仕事の中で喜びや楽しみを感じられることを大切にしながら進めるといいという。新たなことに取り組むことも悪くはないのだそうだ。これらを踏まえたうえで今年のスタートを切りたい。

先日、中部にある顧問先へ今年初めての訪問をした。月に一回の訪問をしている。父親である社長に対し経営全般の相談に与かっている。さらに新規事業の営業サポートをしている。この新規事業がまた難しく営業マンが音を挙げかけている。公共工事への新工法の設計折込及び工事受注というとても難しい営業だ。

午前中に社長と面談し営業マンを交え営業会議を行う。午後からは昨年相次いで入社した長男、次男相手に後継者育成指導としてセッションを2時間程度行っている。今回は大谷翔平選手が高校生の時書いたことで有名となったマンダラートを使ってのセッションだった。長男は尊敬している父親のような偉大な経営者になることを目標としてマンダラートを作成した。

次男は全国から憧れを持って見られる名経営者となることを目標としてマンダラートを作成した。81の枡を埋め尽くすのに2か月を要した。自分一人でじっくりと考えつくすことは非常に時間がかかり疲れるものだ。できあがったマンダラートをもとに次回はそれぞれの目標に向かって進むために今これからできること、やるべきことを10項目挙げてもらうことにしている。

彼ら兄弟にマンダラートを書いてもらっている間に私もマンダラートを利用して新たなビジネス企画を考えてみることにした。目標は私の会社の利益を1億円にすることにした。マンダラートに取り組んだことがある方には承知のことだが、91すべての枡を埋めるには相当な時間がかかる。

ひとつのことを深く考えるという習慣がない私にとってひとつひとつの枡を埋めていくという作業がとても大変なことだった。まさに考えを尽くし、なにかを絞り出すという作業だ。考えるということがこれほど大変で疲れることだったのだと改めて思い知らされた。そしてその瞬間は突然訪れた。

もうあと数枡で私のマンダラートが完成するというときだった。私が本当にやりたいこと、やりたかったことが突然理解できたのだ。それはまさに瞬間に霧が晴れるとでもいったようなイメージだった。これまでも私なりにいろいろと自分の仕事について考えてきたつもりであったけれどそれはただ悩んでいただけなのだと気づかされた。

新年早々これは幸先がいいことだと思っている。ここ数年、自分の仕事のスタイルに疑問を抱いていた私は年を重ねるにつれ焦りを感じ始めていた。経営コンサルタントという仕事柄、他社の事業へのアドバイスには長けてはいるものの、こと自社のこととなるとそうはいかないものだ。

中国古典四書五経の一書「易経」で自らを占い、己の現状、現況を知り今後の指針を示してもらうことができた。たまたまマンダラートを自ら試す機会を得、思わぬひらめきを得ることになった。おかげで私が新たに取り組むべき事業が2つ浮かび上がってきた。新年早々こんな嬉しいことはない。

 

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