親子経営 繁盛と繁栄の秘策 子供がすべき7つのこと 7   「学ぶ」ということ  (2015年9月29日)

ビジネスコラム

「学ぶ」ということ

人生、勉強の連続であり、学び続けることの素晴らしさについては誰もが異論を持ち得ません。我々凡人にとって、言うは易く行うは難しというのが現実です。ただ経営者となると話が違ってきます。

世の中の目まぐるしい変化や流れのなかで毎年適正な利益を上げ続けねば、企業は継続できません。多くの社員の上に立ち、彼らを同じ目標に向かって先導し続けねばなりません。日常業務に追われながらも常に次の変化に対応し、更なる創造をしなければ成長が得られません。

企業規模にかかわらず、経営者とは大変な仕事だと改めて思います。その仕事を引き継ぐ後継者の立場も同じように困難であると感じます。経営全般にわたる実務に精通することは勿論のことながら財務、税務、法務におよぶ知識も必要になります。なおそのうえ人の上に立つ者として人間学、帝王学が求められます。

日々の仕事をこなしていくだけでも大変なのにそんな勉強などする時間があるはずないと聞こえてきそうです。後継者にとっては業務を覚えるだけでも一苦労でしょうし、周りとの人間関係を構築することにも苦心していることでしょう。

それでもあえて後継者にはもっといろんなことを学んで欲しいと言わざる負えません。経営者となり人の上に立つということは社員以上の努力を積み重ね彼らの信頼と信用を得ることが必須要件になるからです。

論語の一節に「学ばば即ち固ならず。」と、あります。いろんなことを学べば学ぶほどに考え方ややり方がより柔軟で発想豊かになるということでしょうか。まさに経営者の必須要件に他なりません。

親子で経営をしていて後継者の息子さんと上手く関係がいっていない経営者に多いのが、頑固で頑なな親父タイプです。何事にも融通が利かず柔軟性に欠け、一旦言い出したら誰の言うことも聞かないという経営者です。

前回、漢字や言葉は時代によって意味や使い方が随分と違うものだという話をしました。同じように「学ぶ」という言葉もまた今とは違っていたようです。論語からもう一節、「子の曰く、篤く信じて学を好み、死を守りて道を善くす。」と、あります。

孔子の時代でいう学問とは道徳であり政治思想を学ぶことをいいます。それらの儒教的教養を身に付けることで、政治の表舞台で活躍することを目指していたものです。以上を踏まえて上の一節を私なりに読み解いてみます。

「学問をこころから信奉し、学ぶことを楽しみ、命を懸けて己が信じた道徳の道をどこまでも突き進み極めてみよう。」と、いうことでしょう。「学ぶ」ということが私たちが学校で勉強をしたといったような生半可なことではなく、生死を賭けた命がけの行為であったことが窺えます。

後継者がやがて経営者となって進む道は、まさに命を懸けて極めるべき道になんら異ならないのではと思われます。経営者としての道、経営道を一歩一歩踏みしめていくことが後継者に与えられた「学ぶ」ということではないかと考えます。