親子経営 繁盛と繁栄の秘策 父親がすべき7つのこと 6  古参社員と子供の関係に留意する (2015年8月11日)

ビジネスコラム

古参社員と子供の関係に留意する

企業には父親である現経営者に雇われ、父親とともに苦労を重ねてきた多くの古参社員がいます。彼らは現経営者との関係を基にして日々の業務を行ってきました。現経営者と一人一人の古参社員との関係並びに関係性はそれぞれ種々多様なものです。

現経営者にとって大切な右腕、番頭のような存在である古参社員、こと営業に関しては誰にも負けない古参社員、技術屋、職人として素晴らしい仕事をする古参社員、経理をやらせては誰よりも信用信頼できる古参社員、社員のリーダー的存在でありいい意味でムードメーカーである古参社員がいます。

一方で、いつも不平不満を口にする古参社員、周りに気配りが無く自己中心的で自分勝手な古参社員、声が必要以上に大きく威圧的で親分気取りな古参社員、周囲を巻き込み社員に一定の影響力がある古参社員、いつも否定から話を始めひとのやる気を失くさせる古参社員、社長にわざと口答えをし弱い者いじめをする古参社員がいます。

企業には現経営者が心から信用信頼が出来る古参社員がいると同時に、日頃からなにかと気に障り問題が多い古参社員がいるものです。現経営者である父親はどちらの古参社員とも相対な関係を構築し種々様々な関係性を持っています。

ここでひとつ気になるのが子供である後継者と彼ら古参社員との関係についてです。父親である現経営者にとって大切な存在である古参社員がすべて後継者にとっても同じように必要で有用な存在となるのだろうかということが気に掛かります。

それ以上の気掛かりが、現経営者がその扱いに頭を悩ませている問題が多い古参社員の存在についてです。父親である現経営者にとって強力な抵抗勢力であった彼らをそのまま後継者の時代に引き継いでしまっていいのかということです。

後継者という立場はとても微妙で繊細なところがあります。父親が築いてきた会社を継ぐという事は父親が築いてきた人間関係をも引き継ぐことになります。後継者にとって実はこれが非常に大きなストレスになります。

父親の番頭、片腕であった古参社員を後継者が同じように扱うのがいいのかどうか、父親にとって抵抗勢力であった扱いにくい古参社員を後継者がどう向き合えばいいのかといったことが後継者にとってはとても重要なことです。

後継者が時間をかけてすべての社員との人間関係を新たに作っていくことは当然のことです。しかしながら、後継者を甘やかす訳ではありませんが、後継者と古参社員の双方をよく知る父親である現経営者があらかじめ古参社員の処遇を考慮しておくことが必要かもしれません。

後継者の時代にどうしてもいて欲しい古参社員、後継者の時代にこそ必要な古参社員がいる一方、後継者の時代にはどうしてもいて欲しくない古参社員がいるものです。その見極めは後継者自身がするよりも、現経営者である父親がやることの方が合理的且つ実践的なことです。