今なぜコーチングなのか (2011年10月19日)

敬天愛人箚記

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私たち人間の営みの基本の一つはコミュニケーションです。他人との意思疎通が上手くできてこそのコミュニケーションです。実はコミュニケーションは私も含め日本人は本来、苦手としています。長年の日本文化の積み重ねとしての結果、家庭において、組織において、コミュニティーにおいて私たちのコミュニケーションは上からの一方通行でした。家庭では父親の意見が絶対でしたし、外では上役の意見が絶対でした。自分の意見を目下の者が言うなどとんでもないことでした。時代は大きく変わりましたがコミュニケーション能力はさほど進歩していないのが現実かもしれません。

貴方が家庭の主人なら、家族は自分が何も言わずとも、妻や子供は以心伝心で自分のことを理解してくれているなんて、よもや思っていませんよね。貴方が会社の中間管理職なら、上司にはひたすら平身低頭で、部下には威張り散らすだけなんてこと、ないですよね。貴方が社長さんなら、うちの社員はみんなおれが雇った奴ばかりだから、話なんてしなくてもみんな俺の気持ちは分かってくれているなんて、思ってないでしょうね。話せば分かる、いや、話しても分からないのがコミュニケーションの難しい所以です。

コミュニケーションの基本は言葉で相手に自分の意思や思いを伝えると同時に、相手の言葉を聞くことです。これが実は難しく、上手下手があります。話し方にも工夫がいります。聞き方にはもっと工夫がいります。実はコーチングのスキルを学ぶことでコミュニケーション能力が格段にあがります。コーチングはコミュニケーションを支えるスキルであるとも言えます。

さて、コーチングとは何かといいますと、相手の能力を引き出し、可能性を広げ、目標を達成できるよう支援すること、と言えます。ティーチングではなく、あくまでも相手がすでに無意識に知っていること分かっていることを引き出し、行動にまで移れるよう促すことをコーチングといいます。コーチングの基本スキルを簡単にお話します。

まず、傾聴です。人の話を最後までじっくり辛抱強く聴くことです。決して、話の途中で口をはさんだり、話を遮ったりしないことです。実際に意識をしていないと、とても難しいものです。ひとはとかく、つい話をさえぎり、自ら話そうとします。意識をして聞くことです。

次に、質問です。適切な質問をすることで、相手が自分で考えるよう促します。質問にはいろんな質問の種類があります。ただ単に、はい、いいえ、で終わるものもあれば、より深く広く考えさす質問もあります。上手に質問することで、相手から新たな発想や意見を引き出すことができます。そして行動に移させることも可能になります。

そして、承認です。簡単にいうと褒めるということです。これも実は大変難しいものです。私たちはひとの批判は無意識にできるものですが、褒めるには意識しなくてはできません。人は褒められると貴方に共感を覚えます。そして褒めることは最高の承認です。

最後にフィードバックです。何らかの改善点を指摘することです。相手を本気で思うが故の指摘でなければなりません。相手との信頼関係が築けていれば行うべきことです。

以上がコーチングのエッセンスです。傾聴、質問、承認、フィードバックが思うようにできれば、コミュニケーションに困ることがないのが、ご理解いただけたと思います。コーチングとは相手の持っている可能性を広げるお手伝いをすることだと思ってください。