先代の評価をみだりに口にしない 新経営者への7つの戒め その5 (2013年11月5日)

ビジネスコラム

~先代の評価をみだりに口にしない~

先代の評価と書いていますが、ようは親父の悪口です。
社長になった途端、親父がしてきたことをあれこれと批判するんです。
親父がやってきたことすべてが気に入らないかのようにです。

役員、社員の区別なく誰にでも親父の事を話します。
これが後々大変なことを引き起こします。

中小企業が親から子へ経営交代する場合、多くの会社がその会社の株を息子に
譲渡しないまま社長が代わります。
その理由は二つです。

ひとつは財務内容が良いので株価評価が高すぎるので譲渡したくても息子にお金
が無いので出来ない場合です。

もうひとつは反対に財務内容が悪いのでいつでも出来るという判断で先延ばしに
される場合です。
要するに社長は息子に代わってはいるけれど株式の大半を依然として親父が
持っている会社が多いということです。

息子には経営権はあるけれど実質的な支配権は親父が持ったままなのです。
こういうことを知らない息子が時たま下手を打ちます。

社長になったらすべて自分の思うように出来ると勘違いをしてしまう息子がいます。
俺は親父と違い大学を出てしかもアメリカでMBAまで取得してきたといったような
息子が初めての役員会で先代批判から始めます。
それはもう他の役員が聞くに堪えないような悪口雑言です。

それ以来新社長はことあるごとに先代のやり方に文句をつけ何かにつけて変えて
いこうとします。
そんなある日、新社長に突然の役員会開催の案内が来ます。

なんだろうと不思議に思いながら出席した役員会で突然の代表取締役解任の決議
がなされます。
何が何やら分からぬ間に息子は社長を解任されてしまったのです。
これは実際にあった話です。

親父の子飼いであった役員たちが息子のあまりの言動に驚き、ついに親父に注進と
相成った訳です。
息子の自分へのあまりにもひどい悪口に親父の堪忍袋の緒がきれました。
そこで伝家の宝刀を抜いてしまったのです。

実質的にオーナーはまだ親父だということを息子はまるで意識していませんでした。
まして親父が息子の首を切るなんて思いもしませんでした。

なかには株式もすべて譲渡され支配権もあわせて持っている息子もいますが、それで
も先代社長への言動には気を付けてもらいたいものです。

まずは先代社長への感謝から始めましょう。