経験値ですべて判断 親父に息子が育てられない7つの理由 その2 (2013年11月14日)

ビジネスコラム

~経験値ですべて判断~

中小企業の親父は長年、経験を頼りに仕事をしてきました。
そしてその結果今日を迎えています。
経営者としていろんな局面、場面を経験をもとに乗り切ってきました。

自分の経営者としての判断に自信を持っています。
過去のいろいろな経験が良くも悪くもすべてが今の判断の基準となっています。
何かトラブルが起こったなら、過去の自分の経験からどうすればいいのか判断します。

どうしていいか分からないことが起きても、これまでの経験の中から類似の事例を探
し出しなんとか答えを出そうとします。
判断基準が決まっているのである意味安定感があると言えますが、一方で硬直感が
窺えると言えそうです。

私の親父は子だくさんの決して裕福でない家で育ったこともあり、まともに学校を出て
おりませんでした。
見よう見まねで商売を覚え若くして事業を始めていました。

親父は根っからの商売人で経営者でも事業家でもありませんでした。
会社を起こしてからも経理は一切分からず、ただがむしゃらに商品を売ってきました。
そんな親父でしたが、会社には現金が必要だという原理原則だけは身に染みて分か
っていました。

いくら大きな商いをしても会社に現金がなければ意味がないということを経験として
理解していたのでしょう。
親父は常に銀行の定期預金残高を気にしていました。

今でこそキャッシュフローを重視した経営をと言われていますが、バブルのときはそれ
こそろんなものが値上がりするということで多くの人がキャッシュを商品や土地に代え
たものです。

そんななかでも親父はかたくなに現金にこだわっていました。
今思うと親父の長年の経験が本能的にリスクを感じさせていたのだと思います。
当時の私は世の中の風潮や時流に乗れないとして親父を批判していました。

若い息子は親父のような経験がありませんが彼なりの情報や知識があります。
世の中の流れや風潮にもより敏感に反応します。
そんな息子に親父は自分の経験だけでものを言おうとします。

どちらがいい悪い、正しいか間違っているかではなく、息子が素直に親父の言葉に耳
を傾けることが出来るかどうかの問題です。
ややもすると親父のいうことはいつも同じことばかりで自分がしてきたことしか言わな
いと、聞く耳を持たないかもしれません。