出版奮闘記(2)

敬天愛人箚記

出版奮闘記(2)

先日どなたかのフェースブックで評論家の勝間和代氏の話が出ていました。
「私は本を書くのに大変な努力をします。それ以上に本を売る努力をその5倍はします」

これまでこの方のことはあまりよく思っていませんでしたが、
その記事を見て彼女を見直した思いがしました。
全くもってその通りだと実感しています。

またこの間はあるビジネス書の女性作家の方にお会いしました。
その方はもうすでに5、6冊出版されており、いずれも数万冊レベルで売れている
との話でした。

「でもね、今回の本は売れてないらしいのよ。初版が8000部でね、まだ増刷に
なってないのよ。こんなこと初めてなのよ。出版社にみんな任せてるからどうなってる
のか全然分からないのよ」

「えー、初版が8000部ですか」と私。
私の初版が1000部ですけどとはさすがに言えず、
「書店への営業はしないのですか」と続けて私。

「書店営業なんてやったことないわ。だって出版社が任せてくださいって言うんだから」
えー、私の出版社なんて営業マンがいないんですけどとも言えず。

「それに書店営業なんてやる時間がないのよ。講演やセミナーで目一杯なんだから」
とその先生が仰いました。
講演やセミナーのお声も掛からぬ私に時間だけは目一杯ありますとはまたまた言え
ない私でした。

実は最近の私は時間を惜しんで書店営業に努めています。
出版してから今日まで関東一円の書店を120店舗以上訪問しています。
再訪も入れると150店舗以上に足を運んでいます。

有名な経営コンサルでもない、ましてや初めて商業出版をしたような者の本が放って
おいて勝手に売れることなど100%ありません。
実際に出版してみて出版業界の現実を知れば知るほどこの当たり前のことが身に染みて
分かりました。

毎日毎日300冊近くの新刊本が出ています。
1か月で約9000冊もの本が出版されるのです。
それでも年々書店の数が減る傾向にあります。

書店の棚数には限りがあり年々減っているのが現実です。
出版社の営業マンによる棚取り合戦が熾烈の度を増すばかりです。
大きな出版社は何といっても初版の数が多いのが魅力です。

出版当初から大手出版社で出された本は書店に数多く並びます。
2、3週間が過ぎると動きが悪い本はどんどん仕舞われていきます。
そうして仕舞われると2度と表に出されることはありません。

なぜなら次から次と新刊が出てくるからです。
やはり初めがひとつの勝負時になります。
大手出版社の場合は新聞広告など様々なプロモーションを企画しています。
それでも売れないのが現実としてあります。

大手出版社から出したから大丈夫売れるとは決して言えません。
それでも私のように零細出版社から出したのではそれこそ目も当てられません。
いずれの場合もひとつ言えることは著者がどれだけ売るための努力をするのかということ
になります。

このような事情があって日々書店営業をしています。
今日も10店舗廻ってきました。
歩行距離12キロメートルです。

続きは次回